続きです。

地元の人に喜ばれる直売所

 椎茸を持ち込まれた農家がいらっしゃったので、話を伺うと、「販売できる場所があって嬉しい」と感謝されていました。値段は同じ商品とあまり変わらないよう安めに設定するとのこと。その後、おいしそうな肉厚の椎茸が店内に並びました。


 町内に住んでいるお客さんにも話を伺ったところ、よく利用されているとのことでした。新鮮で旬なものが並んでいるし、ラベルに載っている名前を見て買ったりするそうです。また地元のおいしい野菜を都会の知り合いに送ったりすることもあるそうです。できるだけ地元の物を買いたいという思いがあると話されました。

地元の食材のPRにも貢献

 前田さんは、以前より自分で何かしたい、するなら人に喜ばれることがしたいと思っていました。地元のものをもっと食べてほしい、地元の農家を応援したいという熱い思いがこの場所を作り上げました。また地元の飲食店や旅館の仕入れ先として利用してもらうことで、地元の野菜のおいしさのPRにもつながっています。
 80歳の方が漬物を喜んで持って来られ、農家にもよく感謝の言葉を言ってもらえると笑顔で話されました。
 もし個人で農産物等を作り販売したいと思っている方は、火水風で販売してみてはいかがでしょうか。

地元の生産者を直接応援できる

 今回お話を聞いて、前田さんのポジティブで熱心な人柄や、生産者側の目線で物事を考え行動される姿勢に心を打たれました。直売所は取引がシンプルで透明性があって、買い物で直接地元の生産者を応援できる仕組みです。
 いまの便利な世の中、遠いところからの食材の搬送が当たり前になり、複雑な流通経路を通して店に品物が並びます。安く物を大量生産・大量消費する時代になっています。直売所のように身近な人が丁寧に作った物を大切に扱う店を、もっと積極的に利用していきたいと思いました。ちなみにこれからの時期、火水風ではブドウやモモが並びます。楽しみです。

前田さん、お話ありがとうございました。

―火水風(ひみか)―
2010年8月オープンの農産物直売所。食に関わるお仕事をされていた店主が、食材の流通のシステムを地域に特化したものにしたいという思いで、地元の農産物の受託販売をはじめる。野菜や魚介類だけでなく、地元の方が作った惣菜や漬物も並ぶ。営業時間は8:30~18:30。